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フリーランス新法

令和6年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称「フリーランス法」または「フリーランス新法」)が施行されます。


施行前から、公正取引委員会等の監督官庁が積極的にフリーランス新法の広報活動を行っていて、日本弁護士連合会も弁護士にフリーランス法の周知等を呼び掛けているところです。


ここまでして新法の事前説明が行われている背景には、これまで契約内容が曖昧にされてきた当事者間に対して特に注意喚起が必要な法律であるというところにあるようです。


フリーランス新法の内容については、監督官庁等の説明を参考にしていただきたいところですが、弁護士として気になる点がいくつかあります。


一つは、海外在住のフリーランスとの取引についてこの法律の適用があるか、という点。


説明の便宜上、海外で暮らしている日本人フリーランスが、日本の発注業者から仕事を受注している場合を想定します。海外の法律を適用した方がフリーランスに対する保護が厚いというケースもあるのかもしれませんが、日本人同士の取引であって、日本で利用されるサービス等が取引の目的であれば、まず、日本法による保護を考えると思います。そこで、海外在住のフリーランスも、日本のフリーランス新法による保護を期待できるかといえば、実は、必ずしもそうとはいえないところです(法の適用に関する通則法参照)。


対策としてのおすすめは、準拠法として日本法を選択し、それを契約書に明記することです。


フリーランス新法でお悩みの方は、契約を文書で用意するだけでも悩ましいところかもしれませんが、実は、とてもシンプルな内容で対策が可能です。


準拠法の条項を例にしてみると、


準拠法:日本法

準拠法は日本法とする。

本契約は、日本法に準拠し、解釈される。


弁護士が契約書を作成するときは、もう少し丁寧に条項を作りますが、実は、この程度も十分です。


弁護士業務で契約書を作成するとき、報酬をいただく以上は、それなりの文言で分量を入れたくなるところですが、むしろ、必要最低限の項目をシンプルな文言にして、使う側に分かりやすい契約書を作るスキルが求められる場合もあるように思うところです。


フリーランス新法について気になる点については、また機会を見て、書いていきます。


参考:

公正取引委員会

flpamph.pdf (jftc.go.jp) - 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 (フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット

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